2007年04月26日

『宇宙戦艦ぴよぴよ 皇女の復讐』第1章第5話「宇宙戦艦ぴよぴよ」

『宇宙戦艦ぴよぴよ 〜皇女の復讐〜』


   第1章『ウニ・ククドゥール』


第1話第2話第3話第4話第5話目次

第1章『ウニ・ククドゥール』

第5話「宇宙戦艦ぴよぴよ」

人類の歴史上、宇宙戦艦ぴよぴよは兵器に分類される。
戦闘機を始めとする兵器群はレーダーに表示され、その動向はレーダーに映っている内容こそを結果としている。ぴよぴよの食べるという行為は、レーダーから表示を消すことになる。すなわち、撃墜したことを意味してしまうのだ。
木星時代の最先端科学力とウニの独創性があって初めて成立する、人類史上最も稀な不殺兵器である。この運用により、戦略上擬似的に勝利することができる。目にした者にしかわからない、そのふざけた兵器はひよこの成長をモチーフに自己更新されていく。脱出ポッドから宇宙船、宇宙戦艦、そして宇宙母艦へと。その先はウニや一部の技術者しか知らない。知らせるよりも、見たほうが早いのだ。
ククドゥールネットワークスの社屋は今、ククドゥール帝国軍通信拠点として機能している。フランソワは後衛を一任されているのだ。

ウニの乗った宇宙船ぴよは木星の衛星軌道をぐるぐると回っている。SAYURIの説明によれば、レーダーに映らないぎりぎりのところを上手に移動しているらしい。その行動の意味するところは操縦に慣れることである。岩石などを食べ、少しずつ大きくなっている。

「ぴーよぴーよぴーよ」

たった今、ぴよが鳴いた。
ぴよの中では時折、警報が鳴る。「ぴーよぴーよぴーよ」と警戒音のように鳴くのだ。
ウニは判断する。お腹が空いたのか、いらない材料が増えたのか、それとも遊んでほしいのか、それ以外なのか。今のところは警報が同じであり、その判断には常に情報が足りなかった。
ところが、そこでひとつひとつ尋ねていくことで、ぴよはコミュニケーションを覚えていくという効果を狙っていた。聞こえ方はどうやら全く同じのようなのだが、感じ取れる雰囲気は異なるらしい。SAYURIはぴよの精神の波形を類型化するため、逐一データをモニタし、分析している。
ウニによれば、どうやら今回は「お腹が空いた」らしい。SAYURIはそれを記録した。
ウニは周囲から手ごろな餌を探した。ここは大印度の上宙(上空よりさらに上)である。
探している間にもさらなる警報が鳴る。

「ぴーよぴーよぴーよ」

何度も催促することはよくあるが、気をつけて様子を伺った。
すると、宇宙用哨戒機が近くを巡回していることに気づいた。
どうやらあちらはまだこちらの存在に気づいていないらしい。だが、ぴよはすでに宇宙用哨戒機をロックオンしている。
人の乗った宇宙船を食べて良いものかどうかはすでに決まっている。ぴよは人を傷つけずに食べるのだから、問題はない。今、問題となるのは、このタイミングでこの宙域の哨戒機が消えた場合、逃げ切ることができるかどうかである。もし、この哨戒機を食べたなら、すぐに母艦らしき宇宙用巡洋艦あたりが追ってくるだろう。正面から食べるのは結構難しいものだし、情報はすぐに上っていく。
ウニはひらめいた。この哨戒機の所属する艦だけを食べてしまおう。食べてさえしまえばその力は手に入る。哨戒機では捉えられないくらいの運動性でこの宙域を離れよう。

ぴよの初陣である。

哨戒機を食べようとするぴよを我慢させながら、ウニは母艦を探した。こちらは漂う、小さな家ほどの宇宙船。推力は独特で、ジェットなどの熱は宇宙とほとんど変わらないので、気づかれる危険は少ない。向こうは・・・いた。旧木星連邦の制式宇宙戦艦、形式も忘れるほどのありがちな、それでいて大きな戦艦。今のぴよが口にできる限界の大きさだ。

「ぴーよぴーよぴーよ」

ウニは察した。お腹がすいているくせにこの子はおむつ廃棄を望んでいる。ぴよにおけるおむつとは余剰原料の廃棄である。取り替える必要はないが、はずしていいタイミングは指示してあげなければならない。せっかくなら、抜群のタイミングで出してあげよう。戦艦までもうちょっと。あ、思いついた。その瞬間、ぴよはきちんと宇宙戦艦をロックオンした。いける!

「今だ!食べてよし!」

今までの様子からは想像できない速度で宇宙戦艦に迫るぴよ。焦ったのか、宇宙戦艦は反撃が間に合っていない。まばらな弾幕はぴよにかすりもしない。「たべてよし」を実行するぴよは相手を食べる気まんまんである。だが、まだもう少しの距離をつめなければならない。主砲の照準がぴよを捕らえた。来る!

「おむつよし!!!」

砲撃の瞬間にぴよはおむつを発射。一瞬前までぴよのいた位置にはおむつがあり、ぴよはおむつを発射した勢いで軌道を変える。おむつは主砲の餌食となった。次の瞬間、ぴよの口は宇宙戦艦を飲み込んだ。

かぷ。

ぴよの勝利である。宣戦布告なき、一方的軍事行動。木星のどこか国の宇宙戦艦が消えた。
戦果とともにたくさんの栄養を得て成長したぴよは、晴れて宇宙戦艦ぴよぴよとなった。



(第1章おわり)

『宇宙戦艦ぴよぴよ 〜皇女の復讐〜』

第1章『ウニ・ククドゥール』
第5話「宇宙戦艦ぴよぴよ」→目次・奥付


第1話第2話第3話第4話第5話目次
posted by 御堂鈴音 at 22:49| 🌁| Comment(0) | TrackBack(0) | 宇宙戦艦ぴよぴよ〜皇女の復讐〜 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。

この記事へのトラックバック
×

この広告は180日以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。