2007年04月26日

『宇宙戦艦ぴよぴよ 皇女の復讐』【序】「木星連邦の興亡」

『宇宙戦艦ぴよぴよ 〜皇女の復讐〜』


   第1章『ウニ・ククドゥール』


第1話第2話第3話第4話第5話目次
宇宙戦艦ぴよぴよ 皇女の復讐【序】

「木星連邦の興亡」

人類の功績の中でもっとも傲慢で、もっとも新しい偉業はなんといっても木星改造であろう。

人類が住める星へと惑星改造するという、テラフォーミングが行われないまま火星は発展。
火星への移住を足踏みしていた多くの地球人は、結局地球の寿命ぎりぎりまで残り、木星に注目した。
あんなガスばかりで出来ている大容量の惑星は、人類が住んでしまってからでは大掛かりな開拓ができないのだ。火星の協力も得ながらという大事業であったが、大いなる視点から見れば、まるで木星を調理しているかのような行為だったに違いない。
当初の作業が「質量を変えずに、組成を変える」というまるで化学の実験のようなことを、地球の130倍もの規模でやってみたのである。これにより、木星には空と大地の区別がついた。人類はついに新天地を作り出したのである。

木星改造はおそるべき速度で成しえた。

地球の各国家・民族は木星という新たなキャンバスに描きなおされた。そこには多民族国家、民族国家、宗教国家、都市国家など多彩な国々を生んだ。内部紛争の起こらぬよう、繊細に線引きされたこの国々は、建国と同時に木星連邦という巨大な組織を作った。木星上のすべての国家を含んだ木星連邦は人類のほとんどを内包したのだ。

人類全てをまとめあげるかのようなその自信と誇りは新たなる火種の萌芽を孕んでいた。

火星の国家は、この木星連邦には加わらなかったのである。

火星は南部の王国連合と北部の共和国連邦があった。前者は先行した火星自治連合の流れを汲む組織で、後者は後続の移民者からなる。木星連邦はこの火星北部を取り入れようとしたが、頑なに拒まれた。

理由はさほど難しくなかった。共和国はすべて立憲君主制で、それぞれの国が南部のさまざまな王国の王の名の下に建国されていたのだ。運営こそは議会制民主主義で行われたが、高等行政は南部にゆだねられ、王国の庇護で育まれていたのである。王国はみな使命感が強く、一国一国が火星の省庁のように振舞った。火星という過酷な開拓地は、ひとつの省庁をひとつの王国へと進化させた。その複雑な歴史はまた別で語るとする。

強大な組織を起こした自負と火星へと旅立てなかったコンプレックスは、木星人類とくに木星連邦トップに必要以上のストレスを与えた。これが木星の火星敵視の本質である。

木星連邦の中心で反火星を声高に叫んでいたのはかつての超大国が再編したパシフィック共和国である。
この強国は火星の国防組織に対抗すべく、主に自国の軍からなる木星連邦軍を率いた。軍の中心足りえたパシフィック共和国とその周辺国家は、木星連邦の中央政府を意味するようになる。この経緯は火星の歴史と妙に符合するが、この時代、強大な連邦は国家それぞれが行政の各部門を担当するものなのだ。

肥大化する木星は、火星に対する威嚇としか思えない壮大な宇宙軍を作った。その圧倒的な兵力には専守防衛の精神はなく、誰の目にも火星侵攻に備えているとしか思えなかった。火星もその動きは察しており、質実剛健な気質も相まって、対抗意識を燃やした。

その火種は意外な角度でなりをひそめた。

木星の巨大国家であるチュヲン共和国とその周辺国家、また大印度というパシフィックに匹敵する大国が火星侵攻に反対する大義を持って独立したのである。これをきっかけに一両日中に木星の過半数の国家が連邦から独立した。
独立相次ぐ木星は大掛かりな再編となった。チュヲン、大印度、ブッチなどの民族国家やその周辺の企業国家は木星諸国連合を結成。木星連邦はその独立を認めなかったために、パシフィックなどの超大国は中央政府を名乗った。しかし、木星諸国連合を制圧できるだけの軍事力が間に合わなかったために、独立は黙認のような形になった。ここに木星の2大勢力が誕生する。
中央政府と諸国連合は牽制し合いながらも、各々の立ち位置を模索していた。諸国連合は火星と国交を続け、中央政府は火星と諸国連合に対し常に強気な態度をとり続けていた。分断してしまった木星がそれでもうまくまわったのは、ロンやカリストといった経済地域系独立国家が両陣営のどちらともうまく立ち回っていたからである。市場経済だけは単純に分断できなかったのだ。

それでも、政治の分断は少しづつ平和を奪っていった。仙道真扶菜によれば「宇宙を飛び交う時代になっても今と変わらぬ火種が陰を落としていた。平和そうな時代」とのことである。

そんな中、木星の衛星イオでは星の半分で世田谷共和国が小峰王国として再建された。
もう半分で、ククドゥール食品が王国を名乗った。


『宇宙戦艦ぴよぴよ 〜皇女の復讐〜』

【序】「木星連邦の興亡」→第1章『ウニ・ククドゥール』第1話「たまごとり」

第1話第2話第3話第4話第5話目次

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