2007年04月14日

電波塔物語『風の中の少女』第二場

電波塔物語『風の中の少女』

目次

第一場 第二場 第三場 目次・奥付


公式ページ 電波塔物語第三「風の中の少女」電波塔物語『風の中の少女』第二場

  不思議な照明。夢とはまた別の色合い。
  少し狂おしい曲、入る。
  涼しい顔をした者たちがいる。電波である。

  電波AからE、上手から上手に一列に並んでいる。
  曲に合わせ、何となく揺れている。

  下手より、電波Fが駆けて来る。
  電波F、電波Eの前で素早く動作(手話?)
  電波E、電波Dにタッチする。
  DがCに、CがBに、BがAに、次々とタッチする。
  電波A、電波Fの素早い動作を真似ながら上手へ駆けてゆく。

  下手より、少女が駆けて来る。
  少女、電波Fの前で素早く動作(手話?)
  電波F、電波Eにタッチする。
  EがDに、DがCに、CがBに、次々とタッチする。
  電波B、少女の素早い動作を真似ながら上手へ駆けてゆく。

  下手より、電波Gが駆けて来る。
  電波G、少女の前で素早く動作(手話?)
  少女、電波Fにタッチする。
  FがEに、EがDに、DがCに、次々とタッチする。
  電波C、電波Gの素早い動作を真似しながら上手へ駆けてゆく。

  暗転。ウーダ、シェリー、博士らが入る。
  照明入ると、緑がかった明かり。電波塔医学庁。

博士あ  ウーダ君。君が我々の世界に来てから、もうかれこれ半年もたったんじゃな。いやあ、久しぶりじゃあないか。もう、生活の方には慣れたかね。
博士い  ウーダ君。君の昔話がまた聞きたいよ。他の連中に何と言われようと、君の話は科学の発展に欠かせないものなんだ。まあ、興味がありすぎるといえばそれまでなんだがなあ。
博士う  ウーダ君、この名前はもうなじんだかい。由来?あれだよ。君の上司の得意だった。そう、だじゃれだよ。君の世界の言葉を使ったんだ。キダケイスケとウッドを混ぜてウーダ。え?これはだじゃれじゃない?

  電波達、徐々に去っていく。他の者の目には入っていない。

ウーダ  お久しぶりです、博士のみなさん。こんな時でなきゃ喜んで再会の長話をするんですが。
博士い  構わないよウーダ君。これが我々の仕事だからね。ユウナちゃんの状態はまだはっきりとしない。君は落ち着いて、シェリーさんを励ましてやってくれ。
ウーダ  はい。僕にできることなら何でもします。
博士あ  相変わらず、君は賢そうじゃな。半年間、何をしとった?
ウーダ  いえ、別に。文字を覚えて、後はお花屋さんのお手伝いだけですから。
博士う  名前の通り、木と共に生きるのか。いい人生だな。
ウーダ  木というより、草ですが。
博士い  おっと、こんな話をしている場合ではないね。とにかく、我々は全力を尽くしてみるよ。ここには現代医学の最先端技術がある。ここで治らなければ、どこに行っても治らないだろう。
博士あ  それにここは電波塔の影響下にある。我々の医学が通用しない時は、電波塔に頼むに限るだろうなあ。
ウーダ  あの、電波塔って・・・
博士あ  ひとことで説明するのは難しい。ただ・・・ただ、何事も可能ということだ。可能性の為に電波塔は存在する。人は電波によって、文化を築いたのだ。我々科学者はいついかなるときもその恩意を忘れてはならいのだ。
博士う  すまんな。電波塔を解明するために科学は発達したというのに、いまだに電波塔は哲学のようにしか説明できないのだ。だが、今は静かに待ち、ひたすら祈ってもらうしかあるまい。
博士い  さあ、行くか。問題はやまずみだ。
博士あ  じゃ、後でな、ウーダ君。
博士い  シェリーさんを頼んだぞ。
ウーダ  はい。博士たちも、ユウナさんを頼みます。

  博士ら、去る。

ウーダ  頼もしいですね。世界最高峰の医学者が集まって。
シェリー それだけ、あの子の病気が重いということよ。
ウーダ  いいじゃないですか。ここで治らない病気はないはずです。
シェリー でも、あの子は不治の病と言われているのよ。
ウーダ  どうしたんですか、シェリーさんらしくない。いつもみたいに、シェリーさんにどんと任せなさい、みたいにはならないんですか。
シェリー 私にとっては、大抵のことは怖くないわ。でも、それがどうしてなのかは考えたことある?・・・娘の病気に比べたら、その他のことは大したことじゃないのよ。とうとう恐れていた日が来てしまったの。難病なのよ。治療法もまだない。今から研究してもあの子の寿命が先に来るわ。はたちまで生きられるか・・・だって、もう19じゃない。すぐよ。私にはもう、どうしてやることもできない。ただ、祈りながら待つだけ。
ウーダ  シェリーさん。教えてほしいことがあるんです。
シェリー 何を?
ウーダ  電波塔とおばけです。物語でいいんです。科学で説明できないなら伝説でいいんです。僕が今、いちばん聞きたいことなんですが。
シェリー ・・・そうね。・・・どんな話がいいかしら。
ウーダ  誰でも知ってて、分かりやすい話がいいです。
シェリー じゃあ、アムトとオフスの話はどうかしら。
ウーダ  外国の昔話よ。ガルンの言葉だと、アマタとイルサの話かしら。人間の男の子アムトとニワトリビトの男の子オフスの小さな冒険の話。・・電波塔に向かって深い、深い森を抜けていくの。途中、何でも教えてくれる小人や、怖い魔物がいてね。二人をどうにかして森から追い出そうとするんだけど。結局ふたりは森の奥の電波塔にたどり着くの。・・・たどり着いた途端、オフスが電波塔を登り始めるの。アムトが止めるんだけどオフスはもっと上に登っていって、そうこうしているうちに嵐。で、雷がオフスに当たって落ちてしまう。
ウーダ  なんか、報われない話ですね。
シェリー そうでもないわ、ここからが電波塔物語らしいのよ。・・・黒こげになったオフスを助けようと、アムトがいろんな手を尽くす。小人さんはそれほど役にたたなくて、結局助けに来たのは、怖かった魔物だったの。オフスを魔物が預かって、治ったら返すことになったの。・・・アムトが大人になったころ、オフスは帰って来たわ、昔の姿のままで。歳を取らずに。
ウーダ  何か変じゃないですか。何をしに電波塔に行ったんだか、ちょっとよくわからないんですが。
シェリー そうね。二人には、願い事があったのよ。
ウーダ  どんな願い事ですか。
シェリー 一緒に大人になりたい。・・・ニワトリビトって当時、寿命が物凄く短くて、人間が大人になるまでに3世代ぐらい交代しちゃうって話だったの。
ウーダ  それで、一緒に大人になりたい。でも、一緒に育たないなら。
シェリー 結果として叶っているのよ。オフスが帰ってくるまでに、アムトは猛勉強してね、ニワトリビトの寿命を延ばすとことに成功しているの。そこへオフスが帰ってきて、めでたしめでたしってわけ。
ウーダ  なんか、ストレートじゃあないですね。普通、いきなり電波塔がぱぱっとニワトリビトの寿命伸ばしちゃえば、物語らしいと思うんですけど。
シェリー 本質的には、二人の願いは叶ってるのよ。要するに、それは手段の違いでしかないわ。クロコゲになって、魔物に預けられて、でもこれも電波塔のなせるわざよ。
ウーダ  不思議ですね。
シェリー そうね、不思議ね。願い事が思ってもみない方法で叶うなんて。
ウーダ  電波塔かあ、なんなんでしょう、一体。あ、そうだ、あと、おばけ。
シェリー おばけねえ。ウーダ君に言われるまで、考えてもみなかったけど、よくわかんないものって、みんな、おばけとかってことになってるわねえ。
ウーダ  そういうのって、誰が言いだすんですか。
シェリー ここの人じゃない?中央政府・電波塔のひとたち。
ウーダ  まあ、電波塔が文明の参考になるんだから、文化の発信基地になるのもわからなくないですね。

  博士らがいる。

博士い  シェリーさん。非常に言いにくいことなんですが。
博士あ  気を落とさずに、聞いてください。
博士う  やはり、ユウナちゃんの治療は不可能です。
シェリー やっぱり・・・
ウーダ  何言ってるんですか!お医者さんの仕事でしょう!この際手術でもなんでもしてくださいよ。
博士あ  この病気は切開手術は向かないんだよ。
ウーダ  薬はどうなんです!
博士い  麻酔かい?そんなもの・・・
ウーダ  他にもあるじゃないですか、抗生物質とかビタミンとか!
博士う  何を言ってるのかよくわからんのだが。
ウーダ  まさか!

  ウーダ、前を向く。

ウーダ  この世界には薬がなかった。全くないというわけでもないが、薬といえば、消毒と麻酔を指すらしい。博士たちに罪はない。今まで研究した人がいなかったのだ。

  ウーダ、戻る。

ウーダ  カルテを見せて下さい。
博士あ  これだが、どうするんだね、そんなもの。
ウーダ  字ぐらい読めるようになりましたよ。
博士あ  いた、そういうとこではなく、君に何ができるのかね。
ウーダ  そんなの読まなきゃ分かりません。あ、これだ!これだけちょっと。あの、これの意味は。
博士う  まあ、腫瘍が膨らんでるってとこかな。
ウーダ  そうか!簡単じゃないですか。そんなにたいそうな薬じゃなくてもなおりますよ!あれとあれとあれがあれば!
博士あ  君の言ってることがよくわからないんだが、その薬というのは、どこで手に入るのかね。
ウーダ  ・・・やっぱり、ないんですか・・・
博士い  残念だな。君のいた世界でならあるいは・・・
シェリー 無茶言わないで下さい。彼はどうやってここに来たのかも分からないですから。
博士い  しかし・・・
博士あ  どこかの省庁で、ウーダ君みたいな人の研究をしている所はないのかね。
博士う  古学庁なんかじゃないかな。
博士あ  何を研究しとるとこじゃ?
博士う  別世界の文献が手に入るという噂だ。
ウーダ  あの・・・僕をそこに連れてって下さい!

  暗転。小道具、本がウーダの手に。

ウーダ  ・・・もしかしたら、これで、なんとかなるかも。
博士あ  何の本じゃ、そりゃ。薬の本か?
ウーダ  高校の化学、あーばけがくです。
博士あ  どう使うんじゃ?
博士い  6角形ばっかりじゃが。
ウーダ  これを数日でマスターしてもらいます。
博士う  誰に?
ウーダ  あなた方に!
博士あ  いきなりなんじゃ、その展開は!
ウーダ  このバケガクが基礎になってます。
博士い  何を言ってるのかわからん。
ウーダ  僕が薬を作ります!
シェリー ウーダ君。それはあなたの世界の治療法>
ウーダ  ええ。それには、薬の薬を用意しなきゃないないんです。時間がないんです。ユウナさんを救うには分担して、作業しないと。
博士う  わかった。手伝おう!
ウーダ  ユウナちゃんを救うと同時に、科学の発展にもなります。・・・物質を特定しましょう!ぜんぶの物質をばけ学にあてはめてみましょう!ここの人達なら短時間でできるはずです。

  シェリー、前を向く。

シェリー ウーダ君のことを調べようと古学庁へ行くと、偶然にも化学についての教科書が手に入った。そして、ウーダ君の説得で、電波塔医学庁は殆どの研究員を動員して、世界中の物質を解明することになった。

  暗転。
  電波達の照明。電波AからEと少女、ランダムに座ってる。

少女   風は夢から。
電波A  そう、風は夢から吹いてくる。
少女   夢は願いから。
電波B  そう、夢は願いから降ってくる。
少女   願いはおばけに乗って。
電場C  空を駆ける。
電波D  誰も見たことはないのに。
電波E  本当は誰でも知っている。
電波A  寝ているときは知っているのに。
少女   起きると忘れる。
電波B  寝ているときに願ってる。
電波C  夢の中で祈ってる。
電波D  届けてほしい言葉がある。
電波E  会いたい人がいる。
電波A  今日、久しぶりに会った。
電波B  でも、昨日の夢で見てた。
少女   それを忘れて。
電波C  会えて、嬉しかった。
少女   とか言う。
電波D  テレビが映る。
電波E  電話がなる。
電波A  お腹の中が見える。
電波B  みんな、おばけのおかげなのに。
電波C  電波塔の力とか言って。
少女   難しい言葉にする。
電波D  寝ているときは分かってるくせに。
少女   起きると忘れる。
電波E  空を飛ぶコツも。
電波A  時間を戻すコツも。
電波B  色を変えるコツも。
電波C  星を作るコツも。
電波D  物語の結末も。
電波E  電波塔の正体も。
電波A  おばけの仕事も。
少女   私が誰なのかも。
電波B  起きると忘れる。
電波C  寝ているときの用事を。
少女   起きると忘れる。
電波D  起きたら忘れる。
電波E  起こすと忘れる。
少女   別の世界に行っちゃうみたいに。
電波達  全部、忘れる。

  緑がかった地明かり。ウーダ、入る。電波たち、まばらに去っていく。
  ノートとにらみ合いながら考えているウーダ。疲れている。
  もう片方の手には試験管。

ウーダ  いらない成分はどんどん特定できるのになあ。

  試験管を置き、ペンを持つ。周期表に印をつける。
  イスに座ったり。寝そべったり。部屋の角にはさまってみたり。

ウーダ  沈殿物?・・・なんだ、混ざってんじゃん。

  試験管を手に取り、分離機にかける。
  スイッチを入れる。電波ABCが入る。

ウーダ  どうして分離機が作れるんだよ?化学以外に使い道なんかないだろうに。

  ウーダ、電波ABCに気づかず、思索続ける。
  電波ABC、分離機の周りで変な動きを規則的に繰り返す。

ウーダ  木田君てば、昔からひとりごと多いよな。ひとりでぶつぶつ言ってると、意外と誰かに聞かれてるんだよなあ。そういえば何で、ウーダ君になったんだろ。木田圭介で不便なさそうなんだけどな。

  シェリー、いつの間にか入ってる。

シェリー ひとりごとについて、ひとりごとしているとこ、ごめんなさいね。
ウーダ  あ、いや、どうも。
シェリー お食事持っていたから、ここに置いておくわね。邪魔すると悪いから、さっさといくわ。
ウーダ  いや、どうも。・・・あー。ちょっと待ってて下さい。
シェリー どうしたの。
ウーダ  あの、聞きたいことが2つほど。

  ウーダ、ノートを置く。

シェリー ええ、構わないけど。
ウーダ  ありがとうございます。えっと、まずは・・・これ、なんですけど。

  ウーダ、分離機を指す。電波ABC、動きながらも反応。

シェリー それがどうかしたの?
ウーダ  この機械、どうしてできたんですか?
シェリー どうしてって言われてもねえ。
ウーダ  普通何に使うんですか。
シェリー 色を変えるんでしょ?
ウーダ  色を変える?
シェリー ええ、確か・・・昔、誰かが絵の具のバケツの隣に電話を置いていたの。何回か鳴ったら、バケツの中の色が変わったのよ。
ウーダ  じゃあ、こいつの仕組みはおばけ。
シェリー そうね、電波ね。
ウーダ  僕の考える電波とは周波数が違うのかなあ。
シェリー え?どういうこと。
ウーダ  あ、いいです。こっちの話です。
シェリー それだけかしら。2つ聞きたいって。
ウーダ  ええ、あの。ユウナさんについて。
シェリー ・・・ええ。
ウーダ  あの病気がわかったのはいつごろですか。何か原因があれば、知っておきたいんですが。
シェリー うーん。あの子のお父さん、つまり私の旦那が亡くなった時ね。ショックであの子寝込んじゃったのよ。あの子は12歳。もともと体が弱かったから、あんまり最初は気にならなかったけど、ものすごく寝るようになって。お医者さんに見せたら、二十歳まで生きられませんって。原因は私には難しくてちゃんとわからないわ。ただ。
ウーダ  ただ、何ですか。
シェリー 久しぶりに起きた第一声が「あー、楽しかった」
ウーダ  あー、楽しかった?
シェリー わかんないわよね。わたしにもわかんないのよ。
ウーダ  そうですね。7年前か・・・引っ越した頃かな。・・・あれ?
シェリー どうしたの?
ウーダ  いああああっ。逃がした。今、なんか浮かんだのに。
シェリー え!私なにか。
ウーダ  あ、シェリーさんのせいじゃないです。僕のド忘れです。今、物凄くイイひらめきがあったんですけど、また、逃がしちゃいました。
シェリー ウーダ君特有ね。その思い出しそこなうの。
ウーダ  ユウナさんにも同じこと言われました。「クシャミしそこなうよね」とか。
シェリー そうよね、クシャミもしそこなうわよね。何でかしら。
ウーダ  よくあることなんで疑問に思わないもんなんですけどね。それなりに悔しいですよ。特にクシャミ。
シェリー 私には一生、わかんないのね。その悔しいの。
ウーダ  人にわかんないと思うと、より悔しいいいい。
シェリー あらあら。・・・他にはないのかしら、聞きたいこと。
ウーダ  えっと。・・・今のところないです。
シェリー そう。じゃあ、がんばってね。無理しない程度に。
ウーダ  はい。・・・お食事いただきます。
シェリー どうぞ、召し上がれ。・・・じゃ、お邪魔にならないように、ひとまず出るわね。何かあったら呼んでちょうだい。
ウーダ  はい。
シェリー じゃ、またね。

  シェリー、さっと掃ける。

ウーダ  7年前、か。ユウナさんのお父さんが亡くなった年。・・・僕が引っ越したころ・・・なんかひっかかるー。

  照明が少し変わる。少女、そうっと入って、電波ABCの後ろに隠れる。

ウーダ  僕が18歳だよなあ。僕が薬学部に願書出した頃だ。・・・あの、雪の女の子が消えた頃だ。そうだよ、なんで今まで気づかなかったんだよ・・・そうだ、最後に見たのは高校3年だ。あの時だけは特別だった。
少女   お迎えが来たときね。

  照明、次の台詞の間に変わる。夢のなかへ。
  その間、電波ABC、手を抜いていき、一服。

ウーダ  そうそう。公園の向こう側に船が降りてきたんだ。あんまり光るから「え?」とか、素に戻っちゃったりして。で、光のなかから宇宙人が、じゃなくて、未来人?いやとにかく妙な格好のおっさんが出てきて、女の子を連れて帰ったんだ。あの時だけだよ。
少女   女の子が帰るのを見たのが?
ウーダ  そう。あれだよ、決定的にあの女の子と会えなくなったのは。
少女   よく思い出せたわね。
ウーダ  冴えてるよね。
少女   で、それに気づいてどうするの?
ウーダ  それだよ、いま僕の中ですごい事が熟成しつつある。
少女   何?何?
ウーダ  ポイントはウルグミレッデだ!
少女   はあ?
ウーダ  わざわざ、元素から合成しなくても身近なところに生薬があった。ウルグミレッデはあの病気に対して、弱めたり強めたりと何らかの影響を及ぼしている、だったら、ウルグミレッデを検査すれば、案外、早く薬ができるかもしれない。
少女   あんた、酔っぱらい以下ね。
ウーダ  何、言ってんだ、凄い発見だぞ。
少女   そりゃ、すごいわねー。
ウーダ  な、すごいんだよ。
少女   で、私の話はどこいったの?
ウーダ  え?

  ウーダ、静止。
  照明、ぱっと緑がかった地明かりに変わる。
  少女は電波ABCの後ろへ。電波ABCは再び変な動き。
  ウーダ、ぱっと起きる。

ウーダ  君は何の話を!・・・え、僕は何の話を・・・そうだ、分離機。

  分離機のスイッチを切る。電波ABC、くるくる回りながら去る。
  ウーダ、試験管を手にする。手で風をつくり、匂いを嗅ぐ。

ウーダ  危なくはないよなあ。うんうん。よし。・・・あ!

  ウーダ、少女を見る。

少女   いや、どうも。
ウーダ  ええ?

  ウーダ周りを点検。そして、もう一回少女のいたところを見る。

ウーダ  いない。なんだあ、寝ぼけてんのかあ。空気悪いのかなあ。窓どこだ。

  試験管の中身の上半分を、別の容器に移す。
  何かスイッチ入れる。窓が開く音。風の音。

ウーダ  ん?待てよ。そうだ、ウルグミレッデ。・・・後は・・・
少女   私の話。
ウーダ  あ・・・
少女   「あ」じゃなくて。
ウーダ  い?・・・
少女   「い」でもなくてさ。
ウーダ  ウソ!?
少女   「う」じゃなくてさ。じゃなくてウソ!ときたか。
ウーダ  まさか。
少女   そのまさかよ。
ウーダ  7年ぶりじゃないか。
少女   ある意味合ってるんだけど、違うでしょ。
ウーダ  何が?
少女   さっき、睡眠中に話したじゃない。
ウーダ  いや、忘れた。
少女   めんどくさいよー。
ウーダ  突然どうしたの?
少女   めんどくさいよー。
ウーダ  だから、何が?
少女   説明すんのが。
ウーダ  はあ・・・
少女   でも、とりあえず。
ウーダ  あ!!
少女   何?
ウーダ  ひらめいた!

  暗転。
(「風の中の少女」第2場おわり)

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posted by 御堂鈴音 at 11:50| ☔| Comment(0) | TrackBack(0) | 電波塔物語 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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