2007年04月14日

電波塔物語『風の中の少女』第一場

電波塔物語『風の中の少女』

目次

第一場 第二場 第三場 目次・奥付


公式ページ 電波塔物語第三「風の中の少女」
電波塔物語『風の中の少女』第一場

  幕、上がる
曲、小さく入る。効果、風の音
照明、ホリ青、サス橙、ピン白
少女が下手に立っている。遠くを見ている。帽子を押さえ、風を浴びる
照明効果、薄い雲がサーっと流れている。
曲、大きくなっていく。やがて歌声とクスクス笑い
照明、暗くなる。少女、掃け
曲、やがて小さくなり、歌声、笑い声、風の音は続く
照明、地明かり
お花屋さん
効果音、FO
曲、入る。

ウーダ  あれ?
シェリー どうしたの、ウーダ君。
ウーダ  今、女の子いませんでした?
シェリー えっ。

  電話の音
  シェリー、携帯電話を取り出す。

シェリー もしもし。・・・、え、・・・あら、そう。わかったわ。・・・代わっとく?
・・・あら、そう。うん、じゃ。

  携帯電話を切る

ウーダ  ユウナさんですか?
シェリー 明日、帰るって。
ウーダ  じゃあ、学校お休みに入るんですね。
シェリー 楽しみにしているみたいよ。
ウーダ  何をですか。
シェリー クス。ウーダ君に会うの、楽しみだって。
ウーダ  ・・・また、僕が餌食ですか。
シェリー あら、いっつも、仲いいじゃない。くっついたら?
ウーダ  冗談、よしてくださいよ。ユウナさん娘さんでしょ。
シェリー あら、ウーダ君けっこうカッコいいもの。
ウーダ  僕。あのコと6つは歳離れてるんですよ。それに。
シェリー そんなこと気にする子じゃないわよ。
ウーダ  知ってますよ。でも、年齢よりも厚い壁があるのも事実ですし。
シェリー また、お堅いんだから。ウーダ君が特別な人間だってことぐらい、このシェリーさんだって知ってることよ。
ウーダ  はあ。でしたら、なおさら。
シェリー でも、好きなんでしょ?お互い。
ウーダ  ・・・かなり、恥ずかしい事言いますね。・・・否定はしませんけど。
シェリー だったらいいしゃない。・・・ずっとここにいなさいよ。
ウーダ  え、は、ハイ・・・
シェリー クスッ。
ウーダ  な、なんですか?
シェリー カワイイー、ウーダ君。
ウーダ  親子揃って・・・
シェリー あ、そういえば。
ウーダ  ハイ?
シェリー さっきの、・・・女の子って?
ウーダ  ええ、なんか、見えた気がしたんですけど。
シェリー 娘じゃなくて?
ウーダ  ユウナさんとは違いました。もう少し幼い感じでした。でも。
シェリー でも。
ウーダ  なんかフワーって。
シェリー オバケかしら。
ウーダ  かもしれませんけど。怖くなかったです。
シェリー あら、オバケって怖いのかしら。
ウーダ  はっ、はあ。こっちじゃ怖いものじゃないんですね。・・・僕の育ったところだと、得体の知れない怖いモノって、オバケってことにしてるんです。
シェリー この辺とは、逆ね。得体の知れない、可愛いものがオバケってことになってるのよ・・・例えばねえ・・・電話を鳴らすのはオバケね。
ウーダ  え、オバケ、電話鳴らすんですか。
シェリー 古い言い伝えなんだけどね。今は電波って呼んでるけど、昔はオバケが電話を鳴らしているって考えたらしいの。
ウーダ  興味深いですね。
シェリー 今でも時々いるのね。あなたみたいな人。まあ、ウーダ君はそれなりに特別だと思うけど。
ウーダ  僕が、どうかしたんですか?
シェリー だって、見えたんでしょ。電話鳴らしにきたオバケ。
ウーダ  ・・・なんだかなあ。
シェリー そうでしょ、あなたがオバケ見た直後に電話鳴ったんだし。
ウーダ  でも、あれ、オバケって言うより。あ、いや、こっちじゃオバケなんですよね・・・変な感じ。
シェリー 勘がいいのね。科学的に言えば。
ウーダ  勘まで科学ですか。一度僕は学校に行ったほうがいいかもしれませんね。
シェリー あら、行ってなかったの。
ウーダ  いや、大学まで出てますけど、なんかここじゃ通用しないような気がしてきました。特に、小学校って全然違いそうです。
シェリー その必要はないわよ。
ウーダ  なんでですか。
シェリー 娘にみんな聞きなさいよ。あの子、小学校の先生になりたいらしいから。
ウーダ  アハ。そう考えれば、帰って来るの楽しみですね。

  暗転。
  スクリーンにタイトルロール。花畑等の映像。
   「企画・シリーズ原案 御堂鈴音」
   「脚本        芽賀義雅」
   「演出名、上演劇団名」
   「制作者名、舞台監督・美術監督名」
  電波塔のイラスト(映像化もよい)
   「電波塔物語第三 風の中の少女」
  OP曲上がっていき、映像とともに終了。
  明転。花屋。ウーダが水を差している。
  走ってくるユウナ。

ユウナ  ただいまー。

  店の奥からシェリーの声。

シェリー 「おーかーえーりー。
ユウナ  たーだーいーまー。
ウーダ  おかえりなさい。ユウナちゃん。
ユウナ  ただいま、ウーダ君。はい、これ、
ウーダ  なに、これ。
ユウナ  お・み・や・げ。
ウーダ  サンキュ。ユウナちゃん。
ユウナ  サンキュって?
ウーダ  サンク ユー、ありがとって意味。ユウナちゃん、わざわざありがとう。
ユウナ  なんか、かっこいいいいかただね。
ウーダ  ところで、中身は何?
ユウナ  わっはっは。あけてみるのだ。
ウーダ  うん。・・・おおっ、これは。
ユウナ  電話だよ。学校行かしてもらったお礼。
ウーダ  いや。それは別に僕のお陰じゃないよ。
ユウナ  いいの。偶然のはじまりはウーダ君だったんだのも。だから、えっと、サンキュ。
ウーダ  ほんとにいいの。ありがとおおっ。おお、こいつが電話か。怪しげなボタンがいっぱいついてるぞ。ねえ、これどうやって使うの。
ユウナ  じゃん。これが説明書。読めない字があったら聞いてね。
ウーダ  この半年間で、字ぐらい覚えたよー。
ユウナ  ウーダ君頭良さそうだもんね。
ウーダ  まあ、そんなことは・・・でもどうしたのこれ。高かったんじゃないの。
ユウナ  機械はまあまあ高かったけど。それより、登録のほうが手間取ったかも知れないなあ。ウーダ君、中央政府には未登録だったでしょ。許可取るのに半年かかったよ。
ウーダ  半年も。ユウナちゃん、ありがとう。
ユウナ  えへ。
ウーダ  あれ?
ユウナ  どうしたの。
ウーダ  なんで許可下りたの。
ユウナ  例の先生方が研究のお礼にって。いろいろ。
ウーダ  いろいろ、ね。変な人達だけど、いろいろ助かるなあ。あとでお礼しとかないとね
ユウナ  あ、ママにもおみやげ渡さないと。ウーダ君、あとでお部屋いくね。
ウーダ  うん。じゃあ、待ってる。

  ウーダ、箱を見ながらうすら微笑んでいる。
  ユウナ、店の奥へ。
  暗転。

ユウナ  「ママー。サンキュー
シェリー 「何。サンキュウって
ユウナ  「ありがとうって意味だよ

  不思議な空間。照明、全てちぐはぐな色合わせ。
  酔ったウーダがいる。サラリーマンのようである。

ウーダ  ただいまー、っっとう!圭介様のお帰りだぞおっとう。

  ドアを開け、だああっと流れ込むように帰宅。

ウーダ  なんつっても、誰もいねーっつうの。うえー。
少女   お帰りなさい。圭介さん。
ウーダ  ん?あ、ああ。ただいまー。
少女   こんなに酔って、もう。明日だってお早いんでしょ。
ウーダ  ご、ごめんあさい。うううう。
少女   しっかりしてくださいね。
ウーダ  はあい。
少女   お布団敷いておきましたから。はい、寝巻きです。
ウーダ  あ、ありがとう。

  ウーダ、着替えて、布団に入る。
  少女、掛け布団をウーダにかけてやる。
  照明、暗くなり始める。

ウーダ  おやすみなさい。
少女   はい。おやすみなさい。

  照明、ほぼ暗闇になる。
  目覚まし時計の音、大きく鳴る。
  何かを叩く音。2撃目で止める。
  間。
  照明、少し明るくなる。相変わらず不思議な空間のまま。
  間。

ウーダ  あのさ。
少女   はい。
ウーダ  これもしかして夢?
少女   さあ?

  ウーダ、身を起こす。

少女   夢の中で酔う人も珍しいと思うんですがね。
ウーダ  寝ていることに気付いたのも初めてだぞ。
少女   そうなんですか。
ウーダ  そうなんだよ。
少女   そうですか。
ウーダ  それよりさ。
少女   はい。
ウーダ  君、誰?
少女   さあ?誰なんでしょう。
ウーダ  あ、昼間の!・・・1度話してみたかったんだ。なんだ夢のなかの人だったのか。どおりで日中思い出せなかったんだ。
少女   質問しといて自分で気が付かないでくださいよ。私が誰なのかは圭介さんの方がよく知ってるんじゃないですか。
ウーダ  うーん。実のところ、よく分からん。よく見る気はするんだけど。
少女   それで十分じゃないですか。圭介さんの貧弱な空想力じゃ、あんまりいろんな登場人物を創れませんから。ひとりでいろんな役やってるんですよ。
ウーダ  さっきは奥さん?
少女   愛人です。奥さんも別にいることになってるんです。
ウーダ  辛いなあ、それ。
少女   まあ、今日ぐらいですから。続きはそうとう先になりますし。
ウーダ  そんなの決まってんの。
少女   決まってないから、いつになるか分からないんです。それより、夢のなかにいるの気付いてて、どうして今夜の分の設定知らないんですか?
ウーダ  さあ?こっちに来てから様子がおかしいんだ。こっちって言っても、夢の中じゃなくて、花屋さんにきてからのことだ。
少女   まあ、いろいろあるんですね。
ウーダ  はじめは日本じゃないなあ程度だったんだ。日に日に現実感が増していって、ここが僕らの世界じゃないってことに気付いたんだ。
少女   記憶の出し入れが随分スムーズですね。
ウーダ  よくわかんないけど頭は冴えてると思う。
少女   「わかんない」と「冴えている」
ウーダ  そこ、妙なつっこみ入れない!興奮すると起きちゃうだろ。
少女   現実逃避ですか。
ウーダ  とにかく、20数年かけて学んだことのことごとくが通用しないんだ、前提となる常識まで違うんだぞ。夢のなかに住んでいる君にはわからないだろうけど。
少女   でもまあ、なんとかなってるじゃないですか。
ウーダ  そりゃ、辛いなのは、人間性に関しては似たような基準でいることだよ。僕はここでもいわゆるいいひとって奴だ。でも、いくらいいひとだって、世間知らずもいいとこだ、君だってどうせずっと見てたんだろ。
少女   そういうことにしておきたいなら、じゃあ、見てたことにしましょう。
ウーダ  ・・・説明しなくても分かる人に説明するのってなんだかなあ。
少女   で、どうするんです。
ウーダ  は?
少女   どうするんです?奥さんのこと。
ウーダ  いきなり何を言ってるんだ。奥さんは夢のなかだけなんだろ。
少女   言い方を変えます。ユウナさん、どうするんですか。
ウーダ  どうして、女の人って恋愛ネタにばっかりもっていくかなあ。・・・あのさ、例えば僕がユウナちゃんと結婚したとして・・・
少女   おおう!
ウーダ  したとして!・・・僕がもとの場所に帰ったら、お互い悲しいと思うんだ。
少女   ・・・結構、真剣に考えてるんじゃないですか。
ウーダ  あたり前だよ。お花畑で見つけてもらって、ずっとお世話になりっぱなしなんだよ。何か恩返しみたいな、そういうことしたいじゃないか。
少女   結婚が恩返しですか。
ウーダ  ・・・お譲ちゃん。鋭すぎること言わないでよ。僕だってまだ考えはまとまってないんだ。
少女   ・・・お譲ちゃんねえ・・・
ウーダ  お譲ちゃんでしょ?
少女   いくつに見える?
ウーダ  えっと・・・12歳くらいかな。
少女   まだまだ青いわね。
ウーダ  じゃあ、いくつなのさ。
少女   ふっ、そいつは秘密さ。
ウーダ  ・・・あれ、丁寧語は?
少女   忘れたー。
ウーダ  なんかやりにくいなあ。第一、話題変わりすぎ。
少女   まあ、夢だし。
ウーダ  夢かあ・・・

  場面変わる。お花屋さん。

ユウナ  全っ然起きないなあ、ウーダ君。
シェリー 電話鳴らしたの?
ユウナ  鳴らしたけど出ないー。さっき、目覚まし叩いてる音したけど。
シェリー あの人はお昼寝がよく似合うわね。
ユウナ  あれはお昼寝じゃなくて、寝坊だよお。
シェリー あはは、まるでウーダ君の奥さんみたいね。
ユウナ  そういうママはおばさん丸出しだよお。
シェリー あら、失礼ねー。お話を分かりやすくしてるよ。
ユウナ  ウーダ君起こすのはコツがいるんだよ。目覚ましとか電話とかで起きる準備してからでないと起きれないの。
シェリー だから1回じゃ起きれないんだ。
ユウナ  やっぱり・・・ママが起こしても起きないんじゃ、元々お寝坊さんだとしか考えられないよ。
シェリー なんで元々なんて言葉使うの?

  舞台の別の所にウーダが立っている。

ウーダ  半年前のある日、僕は花畑で眠っていたらしい。お花屋の娘ユウナさんが眠り続ける僕を見つけてくれた。花も取らずにお花屋に帰り、町の人達と一緒に僕を家まで運んでくれた。余りに眠り続けるのでお医者さんに診てもらったところ、普通の人なら免疫のある、空気中のカビや細菌になぜか感染していたらしいことがわかった。さすがにすぐに治ったけれど、僕を珍しがって、中央政府から博士たちがやってきた。やっと起きた僕に博士たちは質問し続けた。数日に及ぶ情報交換。・・・そして、博士たちが仮説を立てた。・・・どうやら僕は別の世界から来たらしい。僕の持つ知識・経験はこの世界の何処の物でもないらしい。・・・はっきり言って、この世界じゃ役に立たない僕は、だらだらと寝て過ごしている。病気にならなくとも、元々ぼくはよく眠る人間なのだ。

  ウーダ、シェリーらの方へ入る。

シェリー お早う、ウーダ君。今ちょうどあなたのおはなししてたのよ。
ユウナ  ウーダ君はよく眠るねって、でも珍しいね、自分で起きるなんて。
ウーダ  はあ、よくわかっていらっしゃる。
シェリー せっかくウーダ君も起きたことだし、お花畑の方行って来てくれないかしら。
ユウナ  いいよ。何持ってくる?
シェリー そうね、ランバリエとマルホスナと、ウルクミレッデと他は、何か青いのでいいのがあったらお願い。
ユウナ  ランバリエ、マルホスナ、ウルクミレッデそれから青いの。
シェリー お願いね。
ユウナ  じゃ行くよ、ウーダ君これ持って、はい。じゃ。行ってきまーす。
ウーダ  あ、行ってきます。
シェリー いってらっしゃい。

  ウーダ、ユウナ、去る。

シェリー 私は娘をよく花畑に行かせるの。花畑には電波塔の願いが届くというから・・・もともと体の弱かった娘は。お医者さまから二十歳まで生きられるかどうかの命と言われていた。今のところ症状は出ないけれど、確実に死ぬ病気、今の医学ではどうにもならない病気。・・・でも、あの日ウーダ君を見つけてから、娘は今までになく元気になったわ。いつ滅びるかも分からない体で諦めていた夢も、ウーダ君との出会い、そして学者さんたちの励ましで、ちゃんと追いかけようと決意した。残りがどれだけかもわからない命で、小学校の先生になる勉強をしている。・・・このまま、元気なままであの子の夢が叶うのなら、どれだけ幸せなことだろう。あの子が一日でも長く、一秒でも長く笑顔でいられますように。・・・

  照明変わる。シェリー、掃け。
  お花畑。ゆるやかな風、静かな明るさ。
  中央。ウーダ、寝そべっている。ユウナ、座っている。
  間。沈黙を楽しむ二人。

ユウナ  ・・・ウルクミレッデの花びら、白くて可愛いよね。あのね、私たまに夢を見るの。ウルクミレッデが空から舞い降りてきて、ふわふわーって、町が全部真っ白になるの・・・それでね、ひんやりしてるんだ。その幻見ると、心がぽかぽかするんだよね。
ウーダ  それ、雪だよきっと。
ユウナ  ゆき?
ウーダ  細かい氷の集まり。冬には雪が降るんだ。
ユウナ  冬?
ウーダ  そう、地球の自転が・・・って、そんないいかたじゃなくて、えっと。ああそうだ。季節っていって、僕が昔いた所だと、寒い時期とあったかい時期と、その変わり目にここくらいのあったかさの季節があってね、寒い時期を冬って言うんだ。
ユウナ  ずっと寒いの?
ウーダ  2、3か月は北の果てぐらい寒いよ。そういう時期なんだ。
ユウナ  じゃあ、ウーダ君は雪が降るの見たことあるんだ。
ウーダ  うん。このウルクミレッデの花びらに似ててすごく冷たいのが空から降って積もるんだ。ユウナさんの夢みたいに、町が真っ白に埋まるんだ。
ユウナ  あー。夢んなかの景色見せられたらなあ・・・
ウーダ  なんで?
ユウナ  もしかしたらウーダ君のいた町かもしれないでしょ。変な建物がいっぱい・・・もしかしてそんなところに住んでたのかなあって。
ウーダ  ・・・面白い事言うね。・・・あ、ねえ。もしかしてユウナさん。その夢の中の町で、ボール作ったりして遊ばなかった?
ユウナ  夢の中でしょ・・・覚えてないなあ。
ウーダ  そっか・・・ずっと昔ね。すごく小さい頃も雪が降るとき、やっぱりよく寝てさ、相変わらず夕方に起きたんだ。昼間遊び損なって、夜、窓から雪景色を眺めたたんだけど、子供心にやっぱり外で遊びたくなってさ、そんな時、年上の女の子が雪球を投げてきたんだ。僕は窓から飛び下りて、雪の中をその女の子と駆け回った。名前はその時、教えてくれなかった。・・・毎年、寒い季節が来るたび、やっぱり、雪の日は寝坊して友達と遊べなかった。でも毎回毎回、雪の夜にあの女の子が窓辺に雪を投げてきた・・・僕は少しずつ大きくなるのに、あの子は全然、歳を取らなくて。気づいたら僕の方が年上になっていた・・・
ユウナ  その女の子、名前わかった?
ウーダ  今でも分からない。大学に通いだしてから、窓辺になんかいなかったから・・・忘れちゃったんだよね、あの子のこと。
ユウナ  へえ・・・ウーダ君のいた所って、よくそういうことあるの?
ウーダ  いや、たぶんないと思う。幻みたいな・・・あれ?
ユウナ  どしたの?
ウーダ  いや、なんか思い出せそうなんだけど。・・・うああ、思い出しそこなったあああ。
ユウナ  あはは。ウーダ君てその思い出しそこないとか多いよね。
ウーダ  え、そう?
ユウナ  くしゃみしそこなったり。
ウーダ  ああ、あれ。あ、そういえば、ここの人がくしゃみ失敗するのって見たことないなあ。
ユウナ  はははは・・・あ、なんかぼおっとするう。・・・あれえ?・・・なんだろう。

  ユウナ、ウーダの腹の方に倒れる。
  ウーダ、ユウナがばたんと倒れないよう押さえる。

ウーダ  うおっ。・・・まったく、気持ち良くて寝ちゃうとは。

  ウーダ、ユウナの頭をなでる。ユウナの額で、手を止める。

ウーダ  え!熱?・・・ユウナさん!ユウナさん!・・・ユウナああああ!

  暗転

(「風の中の少女」第1場おわり)

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posted by 御堂鈴音 at 11:44| ☔| Comment(0) | TrackBack(0) | 電波塔物語 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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